書籍編集室編集コラム

安部寧先生×赤川次郎先生トークショー


4月に弊社より『All about 劇団四季レパートリー ミュージカル教室へようこそ!』を刊行した安倍寧先生と、現在上演中の『夢から醒めた夢』の原作者である赤川次郎先生とのトークイベントが「ABE MUSICAL SCHOOL 特別夏期講習」と題して、7月26日四季劇場[秋]で開催されました。司会をつとめてくださったのは、劇団四季の俳優であり夢の配達人役を演じている道口瑞之さんです。約220人の参加者の大きな拍手で迎えられ、両先生のご登場とともにイベ ントが始まりました。


2013-08-08

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“ユメサメ”と“ユメユメ”


道口瑞之さん:
本日はどうぞよろしくお願いいたします。

安倍先生:
先日、四季の会の会員の方に会ったとき「また“ユメサメ”が再演されるんですよね。私“ユメサメ”大好きでまた観に行きます」と言われて、僕、初めてそういう言い方があるのを知りました。“ユメユメ”って言う方もいらっしゃるそうですね。赤川先生いかがですか、こういうニックネームは?

赤川先生:
いいですね、それだけ親しまれているということですし。そういう呼び方が浸透していくっていうのはやっぱり長くみんなに愛されているということなので、とっても嬉しいです。

安倍先生:
人気がある証拠ですよね。

――『夢から醒めた夢』はもともと赤川先生が絵本として書かれた短編の童話です。安倍先生がその書評を偶然目にして絵本を読み、「これは芝居になるな」と直感して劇団四季の浅利慶太氏に紹介し、それがきっかけでミュージカルが生まれました。


作曲家・三木たかし氏の音楽


赤川先生:
ミュージカルはやっぱり音楽ですから。本当に素晴らしい音楽だと思います。三木さん自身がとても楽しんで書かれているような気がするんですね。特に途中で突然やくざが演歌を歌っちゃったりするところ。あれはどんなに頑張ってもアンドリュー・ロイド=ウェバーでも書けない音楽ですね(笑)。

安倍先生:
三木さんはもともとナイトクラブでラテンバンドのギターを弾いていたり、歌ったりしていたこともありますし、洋楽ポピュラー系の人です。その傍らでロイド=ウェバーを非常に信奉して一生懸命難しい譜面を分析したり勉強していましたから、幅広い人だったんですね。この『夢から醒めた夢』ではいろいろな曲調のナンバーが並んでいますけど、その幅広さが表れているのかもしれないですね。

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親子二代で観劇


安倍先生:
原作が書かれたのは昭和61年、1986年ですね。

赤川先生:
1987年のミュージカル初演からも、もう26年経ちますが、このあいだロビーであるお母さんから「自分がこどものときに観て感激し、今日は自分のこどもを連れてきました」と声を掛けられました。そういうかたちで二代、三代にわたって観てくださるというのは本当に嬉しいことです。観たくても上演されていないですよね、普通はこんなに長く。本当に幸せな作品だと思いますね。

――小説を書いているときはまさかミュージカルになるとは思いもしなかったとおっしゃる赤川先生。「とても幸せな作品だと思う」と語っていらっしゃいましたが、原作者としてひとつだけ、ミュージカル『夢から醒めた夢』で変わってほしいことがあるそうです。


『夢から醒めた夢』に託す唯一の「夢」


安倍先生:
三木さんはもともとナイトクラブでラテンバンドのギターを弾いていたり、歌ったりしていたこともありますし、洋楽ポピュラー系の人です。その傍らで道口瑞之さん:
最後に、参加者の方から「もし今、何かこの作品に変更を加えるとしたら?」という質問を事前にお預かりしています。

赤川先生:
変えるということでもないですが。霊界空港で世界中の戦争や内戦で死んだこどもたちが出てくる場面がありますよね。いつも浅利さんと「あの場面がいらなくなってほしいね」と話しています。「世界中でそんな戦乱は起こらなくなったから、あの場面は意味がないので削ろうよ」という時代が来てくれないかなと思っています。それだけが僕の夢です。

――他にも、赤川先生が『夢から醒めた夢』の舞台に一度だけ夢の配達人としてあがられたときのお話や、安倍先生と赤川先生のオペラ談義、『夢から醒めた夢』の制作裏話など、この日限りの貴重なお話がたくさん飛び出し、イベント終了後には安倍先生の即席ミニサイン会も行われ、大盛況のうちに“夢”の時間は終わっていきました。

イベントにお越しいただいた皆様、どうもありがとうございました。








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